2001/10/25
出産と満月の話1
満月の日には出産が多いというのは助産婦をしている方の経験から恐らく明らかなことなのだと思いますが、そのことによって出産が月齢と関係があると結論付けることは早計でしょう。私なりにこの理由を考察してみます。
科学的には月が人体に与える力というのは極僅かに過ぎません。月によって潮の満ち引きが起こるくらいなんだから月の影響は大きいはずだという人もいるでしょうが、潮の満ち引きが起こるのは月の引力によるもので、これは海水の重量が大きくまた流動性を持っているためです。そして、本当に月の引力の影響によって出産が変わるのであれば、太陽の引力による影響も加味する必要があります。いわゆる大潮と小潮ですがこの違いによって出産数が変わったという話は聞きません。ゆえに月の影響で出産日が決まるということ自体に科学的な根拠は見出すことができないのです。さらにこの説の問題点を指摘してみましょう。まず妊娠の原因を考えてみます。妊娠の原因は危険日に性行為を行ったことによって着床したためです。そうすると危険日もまた月齢と関係がなくてはなりません。つまり着床した日から月齢で十月十日になるわけですが、これは旧暦、つまり月齢によるもので、このことから危険日は満月から外れた時期に多発することになってしまいます。さらに、これまたよく取り上げられますが女性の生理の月齢との関係を見てみますと、基本的には月齢と同じの28日周期となりますが実は月は正確には28.5日程度の周期で、28日ではありません。たった0.5日と言うなかれ。たった0.5日でも一年経てばそのずれは6日、二年でまったく逆の位置近くまでずれるのです。しかもこの平均月齢どおりの28日周期の生理を持つ女性は全体の1%にも満たず、あくまで平均値に過ぎないのです(これがよくわからない人はサイコロを考えてみよう。サイコロを二つ振ったときの平均値は7だが、サイコロを二つ振って7が出る確率は6分の1に過ぎない)。つまり女性の平均的な生理周期が28日というのは一般的な女性の生理が特定の月齢に関係がないことを逆に証明していることになるのです。
続きます。


 

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