2001/10/20
イカとタコの違いの話2
イカとタコの違いの続きです。
イカもタコも体色を変えられることは有名です。しかし、体色を変える条件が異なります。イカが体色を変えるのは興奮したときだけですが、タコのほうは保護色として常に体色を変えています。また、イカにはなくてタコにだけある性質というのも存在します。例えばタコは擬態と言って体の表面を突起させることで自分の体を岩に見せかけたりすることができますが、イカにはそんな真似ができません。さらにタコにだけあるもので面白いものはまぶたです。イカにはまぶたがありませんが、タコにはまぶたがあるのです。また、イカもタコもどちらも墨を吐きますが、その墨にも微妙な違いがあります。イカの墨は肝臓の腹面に墨汁嚢があり、そこに蓄えられており、また出口が漏斗状になっていますが、タコの墨は肛門付近の墨汁嚢に蓄えられており、出口は漏斗状にはなっていません。なお、出し方はどちらも同じで肛門括約筋の働きで墨を相手に吐き出します。さらにイカとタコではその墨の成分も異なります。基本的にはどちらも「セピオメラニン(アミノ酸の一種のチロシンが酸化したものらしい)」という物質なのですが、イカの場合はこれにマグネシウムやカリウムがついて化合物化しており、やや粘り気があります。そのため海中で散布すると霧散せず、塊状になります。これによって外敵はその墨のほうをイカの本体だと思い襲いかかります。つまり、変わり身の術です。対してタコの墨は粘度が低く、そのかわりに天敵を麻痺させる特殊な成分を持ちます。これを霧散させることで麻痺させ、目をくらませます。つまり木の葉隠れの術です。さらにその生態も微妙に異なります。イカは遊泳性で一定の住み処を持ちません。また行動範囲が極めて広いという特徴を持ちます。一方、タコは定住性で一定の住み処を持ちます。そのため行動範囲は狭いです。
結局、イカとタコの区別の方法は「どちらかというとイカっぽい」「どちらかというとタコっぽい」という区別しかないようです。
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