2001/10/04
共生の話2
昨日の続きです。
ハゼとテッポウエビの共生関係は知っていますか?テッポウエビというのは餌を取るために砂の中に穴を掘りつづけるエビです。このエビの横には大抵ハゼがいます。そのハゼは一所懸命働いているテッポウエビの横でぽけっと突っ立っているように見えます。しかしこのハゼは実は目の見えないテッポウエビの目の代わりをしており、何か事件があるとハゼはその身を震わせてテッポウエビに教えます。そしてテッポウエビの掘った穴の中に一緒に潜んでしまうのです。目の見えないエビと穴の掘れないハゼというお互いの問題をカバーしている完璧な共生関係です。一方、ちょっと特殊な共生関係にはタナゴとカラスガイの共生関係というのがあります。タナゴはカラスガイの水管(人間で言うと気道にあたる場所)に産卵します。そしてそのままカラスガイの呼吸によってエラ付近に流されそこに付着し、カラスガイの殻で守ってもらいながら酸素をたっぷりともらって孵化します。カラスガイのほうもカラスガイのほうで稚貝のときに親貝の水管の入り口に潜んでおり、産卵のために寄って来たタナゴを待ち、タナゴが来るとさっとタナゴのエラに食らいついてしまい、そこでタナゴの血を吸いながら育ちます。つまりお互いがお互いに寄生しあうというとんでもない共生関係にあるのです。話は変わって、サンゴ礁にはホンソメワケベラというちょっと変な魚がいます。この魚は他の魚の汚れや寄生虫を餌にしており、エラやヒレはもちろん、口の中にまで入って掃除をしてくれますが、決して食べられることはありませんし、またホンソメワケベラの近くでは捕食関係にある魚もそこで捕食しないという暗黙のルールが出来あがっているようです。これは多対一ですが、立派な共生関係と言えるでしょう。
ちなみにホンソメワケベラに非常に良く似たニセクロスジギンポという魚もいます。この魚はホンソメワケベラのふりをして魚に近づき、油断した相手のヒレやエラの肉などを食ってしまうというとんでもない魚です。やはり野生はそんなに甘くはないのです。


 

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