2001/05/02
宗教感の話
日本は宗教感が薄い国と言われています。つい最近も味の素の事件がありましたよね。あれに対してイスラムの戒律がおかしいとか人を傷つける宗教は不要だとか、なかなか、ぶっ壊れた意見を言う人がいました。
そこで、ちょいと宗教の話をします。これはハムラビ法典もそうですが、宗教的戒律の本当の意味を少し知っておくと宗教はもっと面白くなります。例えばイスラム教徒は豚を不浄の生き物として決して口にしません。これはまったく根拠がなかったのでしょうか。いいえ、当時、そしてもしかすると今も理由があるのです。イスラム成立当時、コレラや赤痢などの伝染病の原因が豚にあると考えられたというのもありますが、最も大きな理由は恐らく経済的な理由というのが今の定説のようです。豚を一頭飼育するのに必要な水が問題だったのです。あまり知られていませんが、豚というのは水を最も消費する家畜です。中東の水不足の地域で他の家畜よりも遥かに水を消費する家畜を育てれば、それは巡り巡って人の飲む水を制限することになります。そのため豚を不浄の生き物として飼育そのものを禁止しようとした、というのが理由です。イスラムにおける偶像崇拝の禁止も元を辿れば昨日のハムラビ法典と同じように崇める神が違うことによる宗教的な摩擦を防ぐためという意味合いが強かったのです。このようにほとんど意味がないように感じる戒律も実は深い意味があることが多いのです(もちろん、まったく意味のない戒律も存在しますが、それもまた理由がわかっていないだけで当時は深い意味があったのかもしれません)。そういった歴史的な背景を無視して他国に対して無宗教を押し付けようとする日本人がいます。そういう人ほどなぜか鯨肉を食わせろなどと他国からの押し付けに反対しているのが滑稽ですよね。人の振り見て我が振り直しましょう。
ちなみに日本で無宗教というのも不可能に近いですね。初詣に一生に一度も行かない人はいませんし、占いをしたことのない人もいませんでしょう。それに「いただきます」も実は神道用語です。


 

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