2001/02/11
リプレイの話1
リプレイというのはご存じですか?例えばテーブルトークRPGなんかした記録を文章化したもののこと(正確にはリプレイには再演という意味しかない)なのですが、これには大きく分けて二種類の形態があります。一つは台本のト書きのように、喋った人(キャラクタ)とその台詞をつらつらと書き、ところどころに状況説明みたいなものを入れる形態。もう一つは完全にオリジナルの小説にしてしまう形態。さて、どちらが書きやすいと思いますか。
私は実は両方を商業レベルで手がけたことがあります。小説のほう(以下リプレイ小説)は連載直前まで行きましたし、ト書きリプレイ(以下リプレイ)のほうは表の仕事じゃないから細かいことは書けませんが、実際に掲載されています。どちらも一回きりであり、それほど経験を積んでいるわけではありませんが、わかっていることはリプレイ小説のほうが遥かに楽な仕事だったということです。これは意外に思うかも知れません。起こったことをただ書くだけのリプレイと、文章を創作するリプレイ小説では労力はまるで違うだろう、と。ところが、ここに大きな勘違いがあります。リプレイのほうは、ただ起こったことを書くわけにはいかないのです。どうしてかって?ただ起こったことを書いたリプレイというのは参加していなかった人にとってはとてもつまらないものだからです。ゲーム中というのは参加者にとっては一種独特の雰囲気を持っており、一部情報も共有化されている世界です。そこで語られたことをただ文章にしたとしてもあえて読もうと思わせる内容にはなりません。考えてみれば当たり前の話で、今日、職場や学校、バイト先で話した会話を文章にしたからといって面白いものにはならないでしょう。でもこれを小説にするならパスティーシュではありませんが、それなりのものが書けるはずです。もちろんリプレイを取る場合はプレイヤもリプレイを意識したような会話をしてくれますが、それでも面白いものはできないのです。
明日に続きます。
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