2000/12/18
専門化の話
以前、ある人の基調講演でビッグブルー(IBM)が何故落ちたかについて話がありました。その人はIBMと関係のある人だったのですが、ビッグブルーをどうすれば元の地位に戻すことができるのかを真剣に語ってくれました。
その人いわく、ビッグブルーの低迷は手を広げすぎたからだということでした。つまりCPUとOS、ストレージなど、手を広げすぎ、そのため、OSに特化したMicroSoftやCPUに特化したIntel、ストレージに特化したSeagateに破れた、と。だからIBMは何かに集中するべきだという結論でした。振りかえって現在の状況を見るとnVideaはグラフィックカードに特化して市場を席巻しました。反対にS3は手を広げすぎて結局モバイル以外を捨て、特化しました。IntelはCPUに特化しているわけではありません(NICなども販売している)が、CPUとチップセットに精力を集中して牙城を守っています。これはAMDもそうですね。逆に手を広げすぎて結局なにもかもナンバースリーになってるのはVIAです。これはコンピュータの世界に限りませんが複雑になればなるほど、手を広げすぎると失敗する傾向にあるようです。私がちょっとだけ詳しい医学も昔は一人の医者が全ての病気を診ていましたが、今は病気の種類に応じて専門の医者が診ます(内科や外科というレベルではなくもっと細分化されたものです)。実はソフトの世界もこのことは言えます。ネットワークだけしか出来ない人、GUI組ませればナンバーワンの人、セキュリティに詳しい人、といったスペシャリストが集まって一つのソフトを作り上げます。世の中はどんどん専門化へと進んでいるのです。これは本来は時代に逆行します。たとえばソフトの世界はその専門家だけが理解し、その人だけがメンテナンスも何もかも出来、他の人は一切タッチできない、だからその人が辞めてしまえば、そこから先はどうしょうもないというのは非常にまずい傾向であり、それを避けるために開発技法だの再利用性だのといった技術が誕生したのですから。
とはいえ、現実は避けて通れません。私のようななんでも屋は不要な時代になるのでしょうね。
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