2000/09/16
机上戦略論(補給編)
近代戦でもっとも重要視されるようになったのがこの補給です。補給というのは一見、地味に見えますが本来はもっとも重要な戦略的要素です。
架空戦記物で使用される超兵器にはこの補給に関して考えられているものはありません。補給というのは食料や燃料などの広域的な消耗品だけではありません。弾を撃てば弾が減りますし、被弾すれば修理するための物資が必要です。ちょっと現代の話になりますが、9ミリパラベラム(通称キュウバラ)という弾があります。この弾は何が良いかというとかなりの銃器が共通でこの弾を使用できることにあります。ざっと挙げるだけでM92F、M93R、GLOCK17、BROWNING、UZI、MP5なんかが出てきます。軍隊としてはこの弾を使う銃器を作れば補給に悩まされることはないわけです。さて、ここに50センチ砲を積んだ戦艦が一隻あったとします。この船が弾を撃った場合、50センチ砲用の砲弾を補給する必要があります。これが9パラのごとく一般的に使用されている砲弾であればよその艦と共通で使用できますから、幾らでも弾を補給することができます。しかし、特殊な弾である以上、ある一定の場所でしか補給できません。まさかこの一隻のために全ての基地という基地に50センチ弾を置くなんて馬鹿げたことはしないでしょう。この艦専用の補給艦を随伴するという手もありますが、結局はいつかは弾切れになるわけですし、この補給艦が沈没してしまったらあとはただの鉄の箱です。さらに架空戦記でよくある巨大戦艦ですが、戦艦の修理にはドックというのを用います。巨大艦になればなるほどこのドックは巨大化し、修理もままならなくなります。また、うっかり50センチ砲塔に被弾でもしようものならその修理には他の艦との互換性が存在しないため、さらに修理できるドックが減ります。まったく被弾しない、もしくは被弾してもまったく傷つかない超合金Zでも使ってるっていうなら話しは別ですけどね。
結局、補給の観点からいうと互換性のない特異な能力を持つ船が一隻しかないのではまったく役には立ちません。じゃあ、超級能力兵器で統一すればいいのかというと、今度は経済の問題となります。
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