2000/09/11
私的マスタ列伝2
昨日の続きです。私のマスタリングの次は当然ですが彼のマスタリングしかないでしょう。S氏のマスタリングです。
彼のマスタリングは私と対になります。彼も私と同じように流れのマスタを経験し、その結果、私とまったく逆のアプローチをしました。つまりプレイヤの行動を完全に自分の支配下に置くのです。彼のシナリオは決して引かず、ひたすら押して押して押す、というものです。昨日書いたとおり、本来このようなマスタリングを行うとプレイヤは選択肢が少ないというイメージをもちますが、彼のシナリオではそういう感じは受けません。このへんのマスタリングの妙をフリープレイにおいて発揮することができるというのは物凄い才能です。彼がこの点で失敗しないのはプレイヤを徹底して追いつめることによって、プレイヤが自ら選択したと思い込んでいる行動が実は彼のシナリオにおいて必要な行動になっているからであり、結局プレイヤは自らの選択の上で彼の手のひらの上で遊んでいるのです。もちろん、彼にアドリブ能力がないというわけではなく、私なんかはかなり彼の予想範囲を越えた行動をするのですが、私自身が気づかない間にいつのまにか彼の範囲に引き戻されてしまいます。そこまでのプロセスが不自然ではなく、あまりに自然であるためにプレイヤにとっては彼のシナリオは自由度が高いように、そしてアドリブで行われているように見えます。
彼のマスタリングと私のマスタリングを例えるなら、彼のマスタリングは途中で寄るポイントとゴールは決まっている旅行のようなものです。例えば東京から大阪で下車して、大阪から鹿児島まで行くなら彼はその途中過程が電車であろうと船であろうと必ず大阪に行き、そして最後は鹿児島にたどり着きます。私のマスタリングは青春18きっぷです。東京を出ればどこに寄り、どこにたどり着くのか、マスタにもプレイヤにもわからないのです。彼はこの手法により大人数に対するマスタも私よりもはるかに完璧にこなします。


 

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