2000/08/31
宝石屋の話
結婚前に、大手宝石店の店員さんにダイヤモンド指輪の購入勧誘をされたことがあります。当時、私はそれなりにお金があり、また私はもともと芸人気質のため、口上さえよければ買ってもよいかなと思っていました。
さて、初めに出てきたのは店長さんでした。この店長さんはお年を召されていた(といっても恐らく30代前半の女性でしょう)だけのことはありさすがに口上もうまく、私もかなりその気になっていました。ところがそこへ別のお客さんがやってきて、店長さんのかわりに若い店員さんが私の相手をしました。店長さんは私がかなり買い気になっていたので油断したというか、なめていたんでしょうね。私は別におだてられたとかほめられたということに価値を見出したのではなく、その売り口上の見事さに代金を払おうと思っていたのですから。案の定、若い店員さんは売り口上が下手で、ひたすら私をほめるだけ。会話もすれ違い、私の気も削がれてきました。そして絶望的なタイミングでダイヤの購入を勧めてきたのです。もちろん私はその売り口上に払う金はありませんでしたから一気に白け、席を立とうとしました。ここに致命的な一言が出てしまいました。「あ、感じ悪いなぁ。まるであたしがダイヤを売りつけようとしてるみたいじゃないの」今で言う逆切れってやつですね。私も思わず言ってしまいました。「もし僕がそう感じたのだとしたらあなたの売り口上に問題があるということですよ。つまりあなたの売り方が下手だということを自分で認めたことになりますけど」相手は黙ってしまい、私はその場を去り、二度とその宝石店には行きませんでした。その後、その宝石店がどうなったかというと・・・はい、例の事件を引き起こし、倒産してしまったのです。
今にして思えば、あの程度の店員を使っているようなお店ならいつ潰れてもおかしくなかったということですね。若い男なら若い女の子におだてあげられればほいほいと宝石を買ってしまう、そんな考えで商売をしているような店は消えて当然です。


 

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