2000/02/19
人魚の話
もうどんどん脱線していきます。まずはケルトの代表的な人魚にまつわる話。
赤い帽子のメローから行きましょう。男のメローは緑髪に緑歯、赤鼻、豚の目、鱗に覆われ水かきと尾を持っています。さらに嵐を起こして溺れ死にさせ、人の魂をコレクションします。人の魂はさかさまにした壷の中に入れているので、メローと仲良くなった男がこっそりと壷をひっくり返して魂を開放してあげるなんて話もあります。これをもってしても温厚な一族だとか、人間に危害を加えることはないとかとは程遠いことがわかります。
ところが、女性のメローは雪のように白い肌と黒い瞳を持つ、超美人なんです。そして、メローが水に潜るためには赤い帽子が必要です。この帽子を隠されてしまったメローは海に帰れず、結局人間と結婚します。ところがある日、隠してあった帽子を子供の歌から見つけ出し、海に帰ってしまいます。
ケルトでの羽衣伝説です。日本の羽衣伝説と酷似しています。
似たような伝承では人魚のローン族があります。このローン族は人魚界で最も偉い人魚だそうです。男も女も人間よりも美しいそうです。この種族はあざらしの皮をかぶることで水に潜れるのですが、やはり女性のローンがこの皮を隠されてしまったために海に帰れず、人間と結婚するという話がいくつも残っています。最終的には必ず皮を見つけ出して海に帰るのですが。まあ、このローン族は最も気の優しい人魚族です。自分の父親が殺されかかったのに、もう二度とあざらしを取らないことを約束に多額の金銭を与えて、人間を逃がしてやったりします。同じあざらし系人魚のセルキーあたりになると危険です。復讐の為
に嵐を起こして船を沈めたりしますから。こっちは男性のセルキーが逆に人間の女性を誘惑して子供をはらませたりするんですね。生まれてくる子はみな、手に水かきがあるそうです。この水かきを切ると、角状の瘤となって手足の動きが不自由になってしまうそうです。人間の女性のほうが愛人としてセルキーを飼うパターンとかもあります。
女性のセルキーが皮を隠されて・・・というパターンも相変わらずありますが、セルキーの場合、どっちもどっちという気がします。


 

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